❖test版最終章プロローグ
※これは前作「新約診断ダンジョンRPG:test版」のテキストです。
現行の「新約診断ダンジョンRPG」と直接関係はありません。


「なん……それは本当ですか」

「ええ、間違いありません。
 月の動きが狂い始めています。
 ――つまり、"アレ" の制御が、失われたようです」

  「そ、それでは、我が国の白魔術は――」

「恐らく、このままでは根底から破綻することになるでしょう。
 それだけでなく、"彼"の話によると、
 暴走した聖霊が人に牙を剥くことさえあり得ると」

「ばかな、聖霊様は悪魔を討ち祓うために……」

「……はい。それは間違っておりません。ただ」

「ただ?」

「闇の悪魔達が人の悪意を食らって成長するのも、また事実」

「……ま、まさか」

「"アレ"がその"根"を断とうとしている、と彼は言っておりました。
 そしてその準備のために≪聖域≫を形成したのだろうとも」

「なんということだ……魔王の脅威から逃れるための力が、
 まさか我々を脅かすことにはろうとは……

 しかし、何故今になって制御を離れたのですか?
 もう百年以上も制御は保たれて来たではないですか」

「アレは"あの子"が東国からシン大陸へ持ち込んだものとされていますけれど……
 実態はそうではありません。アレは星によって――いえ、
 これ以上は関係のない話ですね。
 ……残念ながら、私も暴走の直接的な原因は分かりません。
 星の流れを見ても、その原因自体に大きな理由がある訳ではないようです」

「しかし、私達は……王国は、どう動くべきなのですかな?」

「何にせよ、アレの暴走を止める他ないでしょう。
 アレが生み出した聖域までの道は、"彼"が繋げてくれると言っています」

「……なるほど……今回も助けられたということですな」

「ええ、借りを作る形になってしまいましたけれど」

「それでは、ギルドへ正式に通達を」

「はい。くれぐれも住民に混乱を招きませんよう」

「……そうですな。アレは"封じられていた魔剣"として処置させましょう。
 ですが宜しいのですか?アレを破壊したとなると……」

「今は悪魔より目下の脅威を鎮めるべきです。
 ……それに、人の手で破壊できるような代物ではありませんよ」

「……恐ろしいことですな」

「では、私は失礼致します」

「……あぁ、ありがとうございます。星導師殿」

「私としても、今回の件は気になるところでして。
 それに、"伝説の勇者"を待ち続けても、意味がありませんもの」

「相変わらず、手厳しいですな」

「ふふ、若者に道を示すのが、年長者の役目ですから」






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