❖第六章 廃都での会話
「魔王様……ついに実体を取り戻されたのですか」
「ふむ……久しいな我が剣よ。未だ完全ではないが、この忌々しき術式も消えつつある。その時には力も戻るであろう」
「逆転星の術式……破るにはいささか時を要しました」
「構わぬ。我が星の世に降り立てば、時の流れなど些細なこと。すぐに星ごと喰らってやるとしよう」
「しかし、そのお身体は……」
「ふむ、この身体では不服か?」
「……いえ、申し上げることは……ありませぬ」
「気に食わん事だがな。"この人間"と"この剣"のお陰で、我は今も"生きて"いる。クク、皮肉なものだ。星の徒が、我の力となっているとはな」
「その剣は?」
「星の魂が我らを滅ぼすために生み出した力"エルヴァ=ルシア"……その分身のようなものだ。
我を追い詰めた剣が、今ではこの人間と我を結びつけ、我に無限の命を与える力となっている」
「なんと凄まじい……そのような力を得ていたとは」
「人間の矮躯には丁度良い。忌むべき白の力も、この身体ならば制御できる」
「……そうなると、私は……」
「案ずるな。貴様は少しばかり放してやろうではないか。我はこの身で少し遊ぶとしよう」
「で、ですが」
「どうした?人間の星を得て情でも湧いたか?」
「……っ、そのようなことは……」
「貴様に人間の身体を与えたのは、その星と力を奪い、内なる永遠の絶望を糧とするためだ。下らん情など捨て置け」
「は……」
「さて、我はもう少し眠るとする。我が"魔王剣"、いや、"闇黒将ゼルレア"よ。遷都した人間共を血祭りにし、我が再臨の宴とせよ」
「直ちに」
「貴様の為の舞台だ。暴れてくるが良い」
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