❖キャンペーン~時喰らい 後編~

――まだ、この塔でやり残したことがある。

焦燥にも似たそんな胸騒ぎを覚えながら、冒険者は再び≪時計塔≫に挑む。

そうして、更なる深淵へ――


キャンペーン開始条件
条件時計塔地下≫で1回以上冒険を行う。
⚜️チャプターを進行する▼

❖チャプター1



冒険者は、誰にも開けることができなかった扉を開いた。
――曖昧だった時の流れが一気に空間に流れ込む。

一秒、一分と進む時間は、自分の鼓動に紐づく、本物の時間。
大時計によって作られた時空ではない、本物の時空。


ここは、我々がよく知る世界――シン大陸のどこかのはずだ。



時計塔の地下は、広い洞窟だった。
生命の気配のない、静かで、ただ広い洞窟。

ただ感じるのは、そこに眠る強大な存在の鼓動。
世界が少しずつ蝕まれているような、おぞましい気配。

この下に〈時喰らい〉が眠っているのだろう。

だが、"魔女"はどうなったのだろうか……?


チャプター進行条件
条件自分またはPTメンバーが≪時計塔地下≫でイベント「時空制御装置」を発見する。
⚜️チャプターを進行する▼

❖チャプター3



その杖は祭壇に祀られていた。
時計を模した複雑な杖。これが話にあった、塔の制御装置だろうか。

冒険者は祭壇の杖を見ようとするが、別のものに目を奪われる。


――祭壇の下に、誰かが倒れている――

冒険者は人影に近づく。
それは時計塔の依頼人――黒衣の魔女・ノイアだった。


「……冒険者さん……?」
魔女は息も絶え絶えに冒険者を見上げた。
全身が傷つき、損傷している。床に広がる赤い血は、少しずつ固まり始めている。
目は朧げで、冒険者の姿がはっきりと見えているのかも分からない。

ひと目見ただけで危険な状態であることが分かる。
冒険者は急いで手当を試みた。


――が、その一切の治療を、魔女の身体は受け付けなかった。
「私の身体は……塔の時空に同期してる……この世界の力じゃ……治すことはできない……」

満身創痍の中、魔女は懐から一振りの剣を取り出した。
《霊剣ディゼルヴァ・エール》。古代神竜語で「時の流れを断つ」という名を持った霊剣。
かつて冒険者が魔女の依頼を受けて取ってきた剣だ。

「……〈時喰らい〉は……私の知る以上に進化していた……
もう、この剣があっても、私の手に負えるものじゃない……
 これを……あなたに……もう、あなたしか……」

魔女は震える手で冒険者に剣を握らせた。
その生命の息吹が、みるみる小さくなっていくのを感じる。

「〈時喰らい〉は……その杖から飛べる時空にいる……だから……

 〈時喰らい〉を……討って」

もはや依頼という体ではない。
それは彼女の個人的な"懇願"でしかなかった。

そして冒険者は――

▼選択肢分岐Ⅰ(1つを選択。後の展開に変化があります)
分岐A
剣を受け取り、覚悟を決める▼
冒険者は霊剣をしっかりと握り返す。
余計な言葉は要らない。握りしめた拳こそが、魔女への返答だった。

「……」
魔女は安心したように小さく微笑み――
――そして 喋らなくなった。

時が止まったかのように魔女の体は動かなくなり、

その場に長い静寂が訪れた。


しばしの沈黙の後、冒険者は立ち上がる。

目指すは、制御装置である杖。
そこから、〈時喰らい〉の元へ行くことができる。


結果・報酬
内容《霊剣ディゼルヴァ・エール》を獲得
★★★★★武器/重量0/0G
攻撃力0/防御力0/AP0
※全職業装備可能。取引不可。

※≪時計塔・地下≫で冒険を行う際に一度だけ、診断名を【時喰らい】にして診断を行うことができます。

~分岐終了
分岐B
頼みを断る▼
「……」
冒険者が首を横に振ると、魔女はがくりと力を失った。

時が止まったかのように魔女の体は動かなくなり、
そして、その場に静寂が訪れた。


しばしの沈黙の後、冒険者は立ち上がる。
果たして、自分はこの空間から脱出することができるのだろうか……?

~キャンペーン終了

チャプター進行条件
条件選択肢分岐Ⅰで分岐Aを選択する。
自分またはPTメンバーが〈時喰らい〉との戦闘に勝利する。
⚜️チャプターを進行する▼

❖チャプター4


〈時喰らい〉の身体が崩れてゆく。溜め込まれた幾万・幾億年もの時の流れが散ってゆく。

地面が揺れる。……否、"世界"が揺れている。
逆流する時の流れに、時喰らいを封じていた魔術の世界は耐えることができない。

――非常に危険な状態だ。冒険者は長年の経験から、瞬時にそう判断した。
脱出の方法は確認できていない。
……だが、"傷ついた彼女が外で倒れていた"のを鑑みれば、外に出る手段はあるはずだ。

壊せる壁はない。ロープで渡れる崖もない。
空間を囲む虚無は、冒険者の往く手をただただ阻んでいる。


冒険者は知る限りのあらゆる手を尽くすが、空間が破られることはなかった。


……方法はないのか、冒険者が絶望しかけた時、
崩れゆく〈時喰らい〉の中から、何かが降ってくるのが見えた。

一振りの杖……制御装置の杖だ……!

――魔術師達は、塔によって〈時喰らい〉を封印していた。
ならば、この時空も塔と同じ、魔術によって作り出された時空――


冒険者は杖を手に取り、そして――
――時計の針を カチリと回した。



――――――――……



※次回冒険日、≪時計塔≫で冒険を行います。


チャプター進行条件
条件≪時計塔≫で冒険を行う。
⚜️チャプターを進行する▼

❖チャプター5


塔に足を踏み入れた冒険者。
その瞬間、大きな音が塔に鳴り響く。1時を告げる鐘の音。

「待っていたわ」

訪れた静寂の後、階段から一人の人影が現れる。

「……ようこそ、時を喰らう時計塔へ」

現れたのは、暗い雰囲気を持った黒衣の魔女。

「あなた達に頼みたい依頼が――え?」

時計塔の魔女は冒険者の姿を見ると、その目を丸くした。

「……うそ……どうして……?」

冒険者が手にしている杖は、この塔の制御装置。
本来はこの時空に存在するはずのないもの……

冒険者は魔女に事の全てを説明した。
塔の守護者を倒し、彼女の試練を達成したこと
彼女の依頼を受け、霊剣を手に入れたこと
時計塔の地下で〈時喰らい〉を倒したこと、
そして杖の力で"塔の時空を巻き戻した"こと――

――つまり、時が戻ったこの塔において、
冒険者は彼女の前に現れる前に、その目的を全て達成していたのである。


冒険者の話を聞いた魔女はしばらく固まっていたが、少し肩を震わせて
「……そう……よかった……
 本当に…… よかった……」
揺れる声で、一人そう呟いた。


※次回冒険日、≪リスタル湖≫で冒険を行います。

チャプター進行条件
条件≪リスタル湖≫で冒険を行う。
⚜️チャプターを進行する▼


❖チャプター6


≪リスタル湖≫の湖畔。
冒険者は魔女と共に塔を見上げていた。

「……この塔を築いた魔術師は、きっと誰かが〈時喰らい〉を止めてくれると信じていた。
 けれど、誰もそれを為さなかった……それは、どうしてだと思う?」

魔女が問う。冒険者が答えに詰まっていると、魔女は続けた。

「時空を研究しているうちに、彼らは"時間"という概念そのものを恐れたんじゃないかしら……

 時間は万物に等しく流れる。けれど、その終着点はどこにもない。
 他の全てが形や性質を変えても、時間の流れだけは永遠。決して止まることはない……
 たとえ一つの世界が終わり、新しい世界が始まったとしても、時間だけは流れ続ける。
 万物を操れる人間達が最後までコントロールできなかったのが、そういう"時間の無限性"。

 〈時喰らい〉は世界の時間を制御するために生み出されたと聞いているわ。
 けれど、その本当の理由は別のところにあった。……それが、"時間の無限性"に対する否定。

 私には、そう思えるの」

時計塔の魔女は、静かにそう語った。
その出自を呪うことも恨むこともなく、ただ淡々と、先人たち向き合っている。

「……人々が過ぎたる力を求めるのは、案外、そういう"恐れ"なのかもしれないわね」
そうまとめて、冒険者の方を向き直った。

「……冒険者さん。本当に、ありがとう……
 あなたが来てくれて良かった」

魔女は穏やかな笑みを見せて、丁寧に頭を下げた。

「……この塔は、じきに消える。〈時喰らい〉が消えて役目は終わったもの

 だから……この杖はもう必要ないわ。追加の報酬として、あなたにあげる」

そう言って、持っていた塔の制御装置を冒険者に差し出す。

「この杖があれば、この世界でも【時空魔法】を操ることができる。
 ……強大な魔術だけれど、あなたならきっと、正しく使いこなせるわ」


▼選択肢分岐Ⅰ(1つを選択。後の展開に変化があります)
分岐A
杖を受け取る▼
冒険者は杖を受け取った。
あまりにも長い時を刻み続けた時計塔の制御装置。

――それは、"時を操る"という 人が叶えた願いの象徴であり、人が犯した過ちの象徴。

冒険者は杖をぐっと握りしめると、改めて魔女と視線を交わした。

結果・報酬
内容・実績≪栄誉:時紡ぎ≫を獲得。
・《時紡ぎリコリエール》を獲得
☆☆☆☆☆☆(Unique)杖/重量12/0G
防御力6/AP6
※実績<栄誉:時紡ぎ>を所持している場合のみ所有可能。
🔽装備効果:1日2回まで、【時空魔法】を使用できる。
自分が受ける結末系エネミースキルの効果を無視する。


~分岐終了
分岐B
杖を受け取らない▼
「……そう、無理にとは言わないわ。……ふふ、結構かさばるものね。
 けど、ごめんなさい。他にあなたに支払える報酬のようなものは持っていなくて……」
「……ならせめて、今後あなたの助けをさせて貰おうかしら」
魔女は、冒険者に手を差し出す。
「魔術には心得があるわ。よかったら声をかけて。
 あなたの冒険の助けになるといいけど」
魔女がそう言うと、冒険者も手を握り返した。

結果・報酬
・実績≪栄誉:時紡ぎ≫を獲得。
※下記傭兵を「冒険者ギルド」で雇用することができるようになりました。

クラス傭兵名最大
所持
重量
傭兵スキル傭兵スキル詳細
メイジ"時計塔の魔女"ノイア10【M重力魔法】(使用/支援/妨害/戦闘)PTメンバー1名対象
ボスを除く、対象者が戦闘中のエネミーの【飛翔】【回避】【逃走】【跳躍】【滑空】スキルを無効化する。
【M使役魔法】(使用/支援/妨害/戦闘)PTメンバー1名対象
対象者が所持中の🐲使役効果を持つアイテム1つを選ぶ。
対象者に対し、その🐲使役効果を適用する。(〔使役〕による効果として処理される)
【M時空魔法】(使用/支援/次回)PTメンバー1名対象
対象者は次回冒険日の冒険開始時、入力名の末尾に【時空】と付けて診断結果を出力し直すことができる。
診断名にワードを付けて冒険をやり直す効果は重複しない。


~分岐終了




End

チャプター進行条件
条件キャンペーンシナリオ~時喰らい 前編~・選択肢分岐Ⅰで分岐Aを選択している。
⚜️おまけチャプター▼


❖おまけチャプター


「……これから、どうするの?」

魔女が尋ねる。時計塔での冒険は一区切り。
……次はどこへ行こうか。
王国の冒険者は自由だ。
いまこの瞬間、自分を縛るものはない。
あるいは時間さえも、自分を縛り付けることはできない。そんな気がする。

「……これを、あなたに」
魔女が掌を開く。
その手の中に収められていたのは、一本の鍵。

「塔が完全に消えるまでまだ猶予はあるから……また、遊びに来て頂戴」
そう言うと、魔女は穏やかな微笑みを見せた。

結果・報酬
内容・《時計塔の鍵》を獲得
★★★★★★冒険道具/重量2/0G
※このアイテムは使用した日、梱包・保管・取引・素材利用できない。
🔁使用効果:「リスタル湖」での自分の冒険時のみ使用できる。
次回冒険日、自分およびPTメンバーは「時計塔」で冒険を行う。




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