推奨冒険者 |
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レベル6以上 |
雷帝城。 雷雲と共に現れる暗黒の城。 かつて魔王の一柱がその城に居を構えたとされているが、今となっては昔の伝説。 幾多の戦いを乗り越えた冒険者達が城に辿りついたとき、既に魔王の姿はなかった。 しかし、夢幻ともいえるその城で、冒険者は一人の少年と出会う。 人とは違うであろう少年が冒険者に依頼したのは、予想外の内容だった。 |
キャンペーン開始条件 | |
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条件 | レベルが5以上。 ≪雷帝城≫で冒険を行う。 |
❖チャプター1
「お願いです。この城を止めてください」 召使風の少年はそう言って冒険者に頭を下げた。 毛先を揃えた金髪の少年である。その姿はほとんど人といっても差し支えないが、翡翠色の肌は妖魔か、あるいは悪魔のようにも見える。 「この城は……かつて我々の主が遺した遺物……のようですが、今となっては、ただ無為に空を漂うのみ……。 我々はこの城の主を知りません。記録では、魔王と呼ばれる強大な存在だったようです。 ですが……今となっては僕と、城の守護者しか残っていません。 主がいつ消えたのか、なぜ消えたのか、永い間、調べました。ですが、その手掛かりはこの城では得られませんでした」 少年の声音は冷たい。あくまで事実を淡々と述べているだけのようだが、その内容は重々しいものだった。 「分かったことは、この城はまだ"生きている"ということ。 そして、この城が生きている限り、僕や守護者は永久にこの城へ縛られ続けるということ……」 少年は少し目を伏せ、再び冒険者を見やる。 「ですが、あなたが現れた。長い時間の繰り返しに、ついにヒビが入ったのです。 どうかこの城を……この城の中核を破壊してください。そうすれば遠くない未来にこの城は止まるでしょう。 中核は言葉の通じぬ二機の守護者が守っています。僕があなたに望むのは、その守護者と中核の破壊です。 報酬は……この城に眠る宝を差し上げます。お好きなものをお持ちになってください。 ただし、人の身には過ぎたる物……2つ以上は、きっとあなたの身を亡ぼすことになるでしょう」 それはまさしく、冒険者への依頼であった。 少年は再び頭を下げ、言葉を繰り返した。 「お願いです。この城を止めてください」 |
チャプター進行条件 | |
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条件 | ≪雷帝城≫で自分・PTメンバーが同日のうちに★7ボスエネミー2種以上と戦闘を行い、いずれにも勝利する。 |
中断 | 可能 |
❖チャプター2
守護者を打ち倒し、中核と呼ばれた装置を破壊し、冒険者は少年の元へ戻ってきた。 「……ありがとうございました」 少年は改めて頭を下げる。 相変わらず感情をはっきりと読み取ることはできないが、が、暗かった声音がどこか軽くなったようにも感じる。 「……これで、僕……我々も解放されます。この長い長い暗雲から」 そう言った少年は小さく微笑んだように見えた。 「それでは、宝物庫へご案内いたします」 宝物庫へ向かう道中、少年が振り返った。 「……あなた方に破壊して頂いたのが、"魔王の心臓"です。僕らの主は、生きていました」 その言葉を聞いて唖然とする冒険者をよそに、少年は続ける。 「この城自体が、僕らの主――魔王ガロス様だったようです。黙っていてすみません。 でも、あなたのお陰で僕も目的を果たすことができました」 冷たい表情の少年は、どこか嬉しそうに手を広げた。 「改めて、僕を縛り付ける魔王様にトドメを刺してくださり、ありがとうございました。 城が完全に止まるまで、まだ少し時間はあります。そうですね……早くとも、100年ほどでしょうか。 ですから、宜しければまた。今度は"遊び"に来てくださいね?」 魔王ガロスが最後に遺した欲望の眷属は、随分と気軽な物言いをした。
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